ひかり社会保険労務士法人

お問い合わせ

社労士ブログ

プレミアムフライデー(その後)

2017年3月10日 金曜日

こんにちは、今週もブログを読んでいただき有難うございます。

 

3月は健康保険料率が改定される月です。

多くの都道府県で保険料率が変更しています。

当月徴収の事業所では、3月支給の給与で控除する社会保険料から金額が変わりますので、給与ご担当の方はどうぞご注意ください。

 

さて、先日このブログでも取り上げたプレミアムフライデーですが、皆さまのまわりの反応はいかがでしたでしょうか。

実は当法人も、試験的に導入してみることになりました。今週はその感想です。

 

2月24日(金)、退社目標の16時は少し過ぎてしまいましたが、傾きかけた夕日がまだまだ明るい頃に事務所を出ました。

その日はそのまま食事に出かけたのですが、17時のお店には誰もいません。

実施企業は数%と言われていたのを思い出しながら食事をし、途中からお客さんの数も増えて、ようやく見慣れた週末の風景になりました。

実感としては、はしごが出来るほど、夜の時間が本当に長かったです。習い事にしても、ちょっとした遠出にしても、何かをするには十分な時間だと思いました。

 

日頃から残業が当たり前になっているため、16時退社は到底かなわないと思っていたのですが、いざ心を決めると、意外にも「これだけは今日済ませよう、これは来週で構わない」と冷静になれるものです。これを日々の業務にも当てはめられれば、残業時間の削減につながるのかもしれません。

プレミアムフライデーの導入は、日頃の仕事の進め方を見直すきっかけになる・・・とは言いすぎかもしれませんが、今回初めて社員全員で16時退社という目標に向かった一体感は悪くなかったです。

 

このようなことができるのは、日頃お世話になっている顧問先の皆様のご協力あってのことです。心より感謝申し上げます。

ちなみに代表の德光は1人、電話番をしていたようです。

社会保険の適用拡大

2017年3月3日 金曜日

今年も早いもので、もう3月ですね。

春が近づいて暖かくなってきましたが、木の芽時は寒暖差が大きく、体調の変化が起きやすい時期でもあります。

今回はそんな季節に利用するかもしれない社会保険の、昨年秋からの適用拡大についてお話しさせていただきます。

 

社会保険には健康保険と厚生年金保険があり、社会保険が適用される事業所のことを「適用事業所」と呼びます。

適用事業所で働いている労働者であっても、すべての人が被保険者となるわけではありません。

平成289月末までは、労働時間が週30時間以上の人が加入の対象でした。

それが2016101日より適用が拡大され、「従業員が501人以上の事業所で20時間以上働く人」までが加入の対象となりました。

加入の要件は以下の5つとなり、これらすべてを満たす場合には被保険者となります。

 

1.週の所定労働時間が20時間以上

2.賃金の月額が88,000円以上

3.雇用期間1年以上見込み

4.学生でないこと

5.従業員501人以上の企業に勤めていること

 

なお、平成29年4月1日からは、以下の①、②に該当する、従業員が常時500人以下の事業所で働く短時間労働者(上記14を満たす)にも適用範囲が拡大されます。

 

    労使合意に基づき申出をする、法人・個人の事業所

    地方公共団体に属する事業所

 

社会保険に入る際の労使手続きには、勤め先において既に社会保険の被保険者となっている方と、適用拡大により新たに被保険者となり得る短時間労働者の方などを対象とし、その2分の1以上の同意が必要です。

 

春先にかけては、新規採用など社会保険加入の手続きも増える時期ですので、加入要件などいま一度ご確認いただければと思います。

 

厚生労働省や全国健康保険協会(協会けんぽ)のこちらのページもご参考になさって下さい。↓

厚生労働省:平成2810月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai/

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

’パタハラ’とは…

2017年2月24日 金曜日

こんにちは。今日からいよいよ“プレミアムフライデー”がスタートします。

 

市内のデパートでは、仕事帰りに立ち寄ってもらおうと、プレミアムフライデー向けのレストランの特別メニューや、家族へのお土産に最適なスイーツの販売など、プレミアム商戦も始まりました。

 

さて、今日は平成29年1月に改正された、「男女雇用機会均等法」と「育児・介護休業法」の中からご紹介させていただきます。

 

みなさんは、“パタハラ”という言葉をご存じでしょうか?

 

聞き慣れない言葉なので、おそらく大半の方が?という感じではないでしょうか。

 

“パタハラ”とは、パタニティ・ハラスメントの略で、英語で「父性」を意味するPaternityと、嫌がらせを意味するハラスメントを合わせて作られた造語です。

 

例えば、男性社員が育児休業や時短勤務を申し出た場合に、上司が配置転換や昇進させない等、人事考課に影響があることを示唆し、制度の利用を抑制する場合が“パタハラ”に該当します。

 

あるいは、上司や同僚が、「男が育児休業を取得するなんて…」といった発言をすることも、“パタハラ”に当たります。

 

これまで、事業主の“マタハラ”行為は法律で禁止されていましたが、平成29年1月より、上司や同僚を含めたマタハラ・パタハラ行為の防止措置が、事業主に義務付けされました。

 

なお、この防止措置は、業種・規模に関わりなく、全ての事業主に義務付けされています。

 

また、マタハラ・パタハラ防止措置は、正社員だけでなく、パートタイマー、契約社員等も含めた、男女すべての従業員が対象になります。

 

今回の改正で、事業主は、以下のような内容の防止措置を講じなければならない、と規定されました。

 

では、それぞれのポイントについて、具体的に見ていきたいと思います。

 

1.ハラスメントの内容、方針等の明確化とその周知・啓発
パタハラ・マタハラの内容について、社内報等で周知する他、管理職を含めた全従業員を対象とした、マタハラ・パタハラ 防止のための研修等の実施。また、マタハラ・パタハラ行為に関する対処について、就業規則等に規定する。

 

2.相談窓口の設置
マタハラ・パタハラに関する相談や、苦情に関する担当者の選任と、相談窓口についての周知。また、相談者が利用しやすいよう面談の他、メールや電話でも受け付ける等の工夫をする。

 

3.マタハラ・パタハラに関する迅速かつ適切な対応
マタハラ・パタハラが起こった場合には、事実関係を迅速かつ正確に確認し、適切に対応する。また、相談担当者への研修の実施や、相談マニュアルを作成する。

 

4.マタハラ・パタハラの原因や背景となる要因の解消
マタハラ・パタハラの起こる原因と、その背景となっている要因の解消のため、業務分担の見直しや、業務の効率化を図る。

 

5.プライバシーの保護
相談者・ハラスメントの行為者等のプライバシーを保護するとともに、相談者や事実確認に協力した人に対して、不利益な取扱いをしてはならないことを就業規則等に規定する。

 

以下、ご参考までに、社内での研修等に利用できるパンフレットをご案内します。

 

1.三重県の労働局が作成した冊子・リーフレット・トリセツ
http://www.pref.mie.lg.jp/common/01/ci500006206.htm

 

2.厚生労働省が作成したパンフレット
「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシャルハラスメント対策は事業主の義務です!!」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/

 

長時間労働と労災認定

2017年2月17日 金曜日

 

こんにちは。この度はひかり社会保険労務士法人のブログを御覧いただき誠にありがとうございます。

 

時間外労働に関わる事件やニュースが増える中、「労災認定」という言葉をよく耳にされるかと思います。「労災認定」と聞くと業務中のケガなどをイメージしますが、長時間にわたる時間外労働などを要因として発症する恐れのある「脳・心臓疾患」「精神疾患」についても「労災認定」の基準が設けられています。

今回は「労災認定」に係る時間外労働時間数の基準についてお伝えしたいと思います。

 

● 「脳・心臓疾患」と「精神疾患」 ●

長時間労働を起因とする労災認定の対象疾患は大きく「脳・心臓疾患」と「精神疾患」に分けられます。それぞれにおいて、時間外労働の時間数に応じた基準が設けられており、その基準を超えると「業務」と「発症」との関連性が強いと判断される可能性が高まります。

 

 

● 脳・心臓疾患 ●

脳・心臓疾患とは、脳内出血やくも膜下出血等の「脳血管疾患」、心筋梗塞等の「虚血性心疾患」の事を指します。「業務による明らかな過重負荷」を受けたことにより発症したと認められれば「労災認定」となります。

その判断基準には以下の3つがあります。

 

 ①異常な出来事:発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的および場所的に

         明確にし得る「異常な出来事」に遭遇したこと

          

 

 ②短期間の過重業務:発症前おおむね1週間に日常業務に比較して特に過重な身体的、

           精神的負荷を生じさせる業務に従事したこと

 

 ③長時間の過重業務:発症前おおむね6か月間に著しい疲労の蓄積をもたらす

           特に過重な業務に従事したこと

 

その中で、長時間に上る労働は疲労の蓄積をもたらす要因と考えられるため、時間外労働が下記の基準を超えると業務と発症との関連性が強いと判断される可能性が高まります。

 

<発症前1か月間におおむね100時間を超える もしくは 発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働>

 

平成286月に厚生労働省が発表した平成27年度「過労死等の労災補償状況」

の資料に「脳・心臓疾患の時間外労働時間数別支給決定件数」が掲載されています。

 

下の表を御覧頂くと、時間数が80時間を超えるのに伴って、件数も急激に増加している事が分かります。上記の基準を超えると労災認定される可能性が高まるという事を実感して頂けると思います。

 

無題

 

 
 

● 精神疾患 ●

 精神疾患とは、うつ病や統合失調症等の疾病や精神障害を指します。

下記3つの認定要件を満たす場合は「労災認定」となります。

 

 ① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること

 

 ② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、

   業務による強い心理的負荷が認められること

 

③  業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

 

 そして、②の基準に記載されている「業務による強い心理的負荷」を判断する基準として、下記の時間外労働時間数が定められています。

 

○ 発病前1か月におおむね160時間以上

○ 発病前3週間におおむね120時間以上

○ 発病前の2か月連続して1月あたりおおむね120時間以上

○ 発病前の3か月連続して1月あたりおおむね100時間以上

 

上記の基準を超えると「心理的負荷を強」と判断される可能性が高まります。

 

三菱電機の元社員の男性が長時間労働による精神疾患を発症し、昨年11月に労災認定されたケースでは、「発症の3カ月前から月100時間を超える残業」があったと認定された上で、「強い心理的負担がかかっていた」と判断されています。

 

● 最後に ●

 今回は「業務」と「発症」の関連性が強いと判断される場合の「労災認定」に係る時間外労働時間数の基準についてお伝え致しました。実際の事例においては、今回ご紹介した時間数より少ない場合でも労災認定が行われる場合もあります。

「〇時間を超える残業、、、」というテレビや新聞での報道も、こういった行政の基準を知った上で御覧頂くと印象が変わるかもしれません。

 

最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

プレミアムフライデー

2017年2月10日 金曜日

立春も過ぎ、暦の上では早くも春となりました。

暖かくなってくると、行楽に出かけたり、新しいことを始めてみたりと、フットワークも心なしか軽くなりますよね。

今月24日(金)から始まるプレミアムフライデーは、そんな気持ちを後押ししてくれる制度ですが、労務管理の点からはどのようなことに気を付ければよいか、お話しさせていただきたいと思います。

 

月末の金曜日は、15時で仕事を切り上げましょうという プレミアムフライデー。

この制度を導入したい場合、例えば所定労働時間が9時~18時とすると、15時~18時の3時間のお給料はどうしたらいいのかな・・・と思われましたか?

これには次の3つのパターンが考えられます。

 

① これまで通り、全額支給する。

この金曜日については所定労働時間の変更とすることで、給料を全額支給する方法です。

 

② 給料から控除する。

労働基準法はノーワークノーペイを原則としているため、この3時間について、賃金を支払わない方法もあります。

 

③ 他の日の労働時間を3時間分増やす。

これは、変形労働時間制を採用している事業場に認められる方法です。

この金曜日の労働時間を減らす代わりに、他の日の労働時間を増やすことで、所定労働時間も給料も変更せずに導入することができます。

 

※就業規則の変更や、労使協定が必要なケースもありますので、導入をお考えの方はご相談ください。

 

経団連は、今年度が「働き方・休み方改革集中取組み年」であることから、「柔軟な働き方の推進」を呼びかけているそうですが、労務管理側の苦労はあまり考慮されていないかもしれませんね。

そしてプレミアムフライデーには、飲食店などのサービス業が早くから開店することで、時間外労働が増える可能性もあります。

割増賃金の支払はもちろんですが、サービス業に従事する方々の働き方が近年特に問題になっている流れの中で、事業主の皆様はより一層、従業員の労働時間や健康管理に注意していく必要があるといえます。

 

最後までお読みいただき ありがとうございました。