こんにちは。この度はひかり社会保険労務士法人のブログを御覧いただき誠にありがとうございます。
今回は、「36協定」について取り上げたいと思います。
時間外労働に関するニュースは昨年から頻繁に目にするようになり、長時間労働の是正を課題とされている事業所様も多いのではないでしょうか。そのニュースの中でも、この「36協定」は頻繁に登場します。
● 36協定とは ●
まず、大前提として従業員に時間外労働・休日労働を行わせる場合、「36協定」と呼ばれる労使協定を事業所ごとに締結する必要があります。これは使用者と当該事業所に「労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者」との書面による協定です。
その内容は、
①時間外労働を必要とする具体的事由
②その業務の種類
③労働者の数
④1日及び1日を超える期間(1日を超え3か月までの期間及び1年)についての
延長することのできる時期
⑤労使協定の有効期限(労働協約による場合を除く)
について協定を結ぶ必要があります。
また、36協定は労働基準監督署に届け出ることによって効力が発生するため注意が必要です。
36協定で定める事ができる時間外労働の上限は「1か月 45時間」「1年 360時間」など定められていますが、特別条項付きの協定を結ぶと、その上限を超えた時間を定める事ができるため、抑止力としての機能を果たしていないのが現状です。
●「違法残業」●
36協定を締結し、届出を行っていた場合でも、労使協定で定める範囲を超えて時間外労働をさせた場合は「労働基準法32条違反」となります。
今月、神奈川労働局により三菱電機が書類送検されたケースがその事例にあたり、36協定で定める上限を超えて社員に時間外労働をさせた疑いがあるという事でした。
● 就業規則等における定め ●
使用者は労働者に時間外・休日労働をさせるにあたり、36協定の締結に加えて就業規則等に、時間外労働命令に従うことについて契約上の義務を定めておかなければなりません。
日立製作所武蔵工場事件の判例においては、
「36協定の締結・届出が行われ、就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば、労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を定めているときは、当該就業規則の規定が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容となるから、当該就業規則の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働義務を負う」とされています。
● 最後に ●
新聞やニュースでは毎日のように「長時間労働による労災認定」「違法残業による立件」について取り上げられています。
この機会に労務管理の課題・問題点や36協定の内容など一度見直されてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き誠にありがとうございました。