
プレミアムフライデー
2017年2月10日 金曜日
立春も過ぎ、暦の上では早くも春となりました。
暖かくなってくると、行楽に出かけたり、新しいことを始めてみたりと、フットワークも心なしか軽くなりますよね。
今月24日(金)から始まるプレミアムフライデーは、そんな気持ちを後押ししてくれる制度ですが、労務管理の点からはどのようなことに気を付ければよいか、お話しさせていただきたいと思います。
月末の金曜日は、15時で仕事を切り上げましょうという プレミアムフライデー。
この制度を導入したい場合、例えば所定労働時間が9時~18時とすると、15時~18時の3時間のお給料はどうしたらいいのかな・・・と思われましたか?
これには次の3つのパターンが考えられます。
① これまで通り、全額支給する。
この金曜日については所定労働時間の変更とすることで、給料を全額支給する方法です。
② 給料から控除する。
労働基準法はノーワークノーペイを原則としているため、この3時間について、賃金を支払わない方法もあります。
③ 他の日の労働時間を3時間分増やす。
これは、変形労働時間制を採用している事業場に認められる方法です。
この金曜日の労働時間を減らす代わりに、他の日の労働時間を増やすことで、所定労働時間も給料も変更せずに導入することができます。
※就業規則の変更や、労使協定が必要なケースもありますので、導入をお考えの方はご相談ください。
経団連は、今年度が「働き方・休み方改革集中取組み年」であることから、「柔軟な働き方の推進」を呼びかけているそうですが、労務管理側の苦労はあまり考慮されていないかもしれませんね。
そしてプレミアムフライデーには、飲食店などのサービス業が早くから開店することで、時間外労働が増える可能性もあります。
割増賃金の支払はもちろんですが、サービス業に従事する方々の働き方が近年特に問題になっている流れの中で、事業主の皆様はより一層、従業員の労働時間や健康管理に注意していく必要があるといえます。
最後までお読みいただき ありがとうございました。
同月内に入社、退社した従業員の社会保険料の控除について
2017年2月3日 金曜日
ひかり社会保険労務士法人のブログをご覧いただきましてありがとうございます。
まだまだ寒い日が続いておりますが、今後春にかけては従業員の入退社が増えていく時期でもありますね。
様々な事情で、入社したもののすぐに辞めてしまう方もおられると思います。
中には、入社したその月に退社してしまったという場合もあるかもしれません。
そういった時に、お給料からの社会保険料の控除をどうしたら良いか?というお問い合わせをいただくことがございます。
結論から申しますと、同月内に資格の取得と喪失があった場合の社会保険料の控除については以下のようになります。
・厚生年金保険料 → お給料から控除しない場合もある
・健康保険料 → お給料から控除する
・介護保険料 → お給料から控除する
厚生年金保険料を「控除しない場合もある」としているのは、あとで控除した分が還ってくるケースがあるからです。還ってくるケースとは以下の二つです。
1. 同月得喪した月内に転職先の他社で社会保険に加入
2.同月得喪した月内に退職者本人が手続きして国民年金に加入
同じ月に社会保険の資格取得と喪失を行うことを同月得喪と呼びます。
平成27年10月1日より、同月内に退職者本人が国民年金加入の手続きをした場合にも厚生年金保険料の還付がされるようになりました。
社会保険の被保険者期間は月単位で計算されますので、同月得喪した退職者に関しては、期間が1カ月に満たなくてもひと月分の厚生年金保険料を納付します。
ただし、同月内に国民年金に、もしくは他社で厚生年金に加入した場合は、その月は国民年金の、新しい会社での被保険者となるので、元の会社で徴収された厚生年金保険料に関しては還付されるのです。
以前も、退職者が同月得喪した月内にさらに転職先の会社で社会保険に加入した場合には還付されていました。
ですが、自動的に年金事務所から通知があるわけではなく、申し出によって事実確認後に手続きをし還付されるという仕組みだったため、事業所は退職者が新しい厚生年金に加入したことを知ることなく、保険料は徴収されたままとなることも考えられました。
この場合でも、同月得喪月に関して年金受給額に反映されるのは、新しい事業所の分のみとなります。
そのため、平成27年10月以降は、厚生年金・国民年金共に、加入の手続きがなされた段階で年金事務所から元の事業所へ自動的に郵送にて通知されるようになりました。
ここで注意しなければならないのは、1,2ともに、手続きがなされていなければ還付はされないということです。
他社で社会保険に加入する場合は転職先の担当者が手続きをするでしょうが、国民年金に加入する場合、万が一退職した本人が手続きを行わなければ、同月得喪月の保険料は徴収されたままです。
他社での社会保険加入にしても本人での国民年金加入にしても、手続きがあって初めて年金事務所からその旨の通知が届き、その通知に従って申請を行うことにより、いったん徴収された保険料が還付されるのです。
なお、健康保険・介護保険については、年金のように将来受け取る額に影響するものではないため、このような規定はありませんので、お給料から控除することになります。
同月得喪でも厚生年金と健康保険で取り扱いが異なるなど複雑な面もありますが、以上がご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
改正!育児休業給付金
2017年1月24日 火曜日
こんにちは。新しい年が始まって、1月もあと1週間となりました。
給与担当者の方にとっては、市町村や税務署に発送する「給与支払報告書」と「源泉徴収票」
の準備で慌ただしい時期ですね。
さて、今回は雇用保険法の中から、「育児休業給付金」の主な改正点について、ご紹介させて
いただきます。
~平成29年1月1日施行~
■「育児休業給付金」の改正のポイント■
1.有期契約者の支給要件を緩和!
(改正前)
①育児休業の申出時点で1年以上継続して雇用されていること
②1歳以降も雇用継続の見込みがあること
③2歳までの間に更新されないことが明らかである者を除く
(改正後)
①育児休業の申出時点で1年以上継続して雇用されていること
②1歳6か月までの間に更新されないことが明らかである者を除く
パートや契約社員等の方も、「育児休業給付金」を受給しやすいよう、年齢要件が緩和されました。
2.「育児休業給付金」を毎月もらうことも可能!
従来どおり2か月に1度まとめて申請することも可能ですが、本人の希望により1か月に1度、
支給申請することもできるようになりました。
平成25年に厚生労働省が実施した、「有期契約労働者の育児休業制度等に関するアンケート調査」
によれば、有期契約の労働者が育児休業を取得できることについて、本人が知っていた割合は、
21.8%と約2割にとどまっています。
パートや契約社員等の期間に定めがある方も、所定の要件を満たす場合は、育児休業を取得することができます。
また、パートや契約社員等の方であっても、支給要件に該当すれば、育児休業給付金が支給されます。
「正社員ではないので、育児休業や育児休業給付金はもらえない。」と誤解されている方も多いのではないでしょうか。
育児休業給付金の支給要件や支給額等につきましては、下記の「育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて」に、詳しく書かれていますので、ご覧ください。
※「育児休業給付金の内容及び支給申請手続きについて」(ハローワーク) https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/ikujikyugyou.pdf
※「育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_11_01.pdf
36協定とは、、、
2017年1月18日 水曜日
こんにちは。この度はひかり社会保険労務士法人のブログを御覧いただき誠にありがとうございます。
今回は、「36協定」について取り上げたいと思います。
時間外労働に関するニュースは昨年から頻繁に目にするようになり、長時間労働の是正を課題とされている事業所様も多いのではないでしょうか。そのニュースの中でも、この「36協定」は頻繁に登場します。
● 36協定とは ●
まず、大前提として従業員に時間外労働・休日労働を行わせる場合、「36協定」と呼ばれる労使協定を事業所ごとに締結する必要があります。これは使用者と当該事業所に「労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者」との書面による協定です。
その内容は、
①時間外労働を必要とする具体的事由
②その業務の種類
③労働者の数
④1日及び1日を超える期間(1日を超え3か月までの期間及び1年)についての
延長することのできる時期
⑤労使協定の有効期限(労働協約による場合を除く)
について協定を結ぶ必要があります。
また、36協定は労働基準監督署に届け出ることによって効力が発生するため注意が必要です。
36協定で定める事ができる時間外労働の上限は「1か月 45時間」「1年 360時間」など定められていますが、特別条項付きの協定を結ぶと、その上限を超えた時間を定める事ができるため、抑止力としての機能を果たしていないのが現状です。
●「違法残業」●
36協定を締結し、届出を行っていた場合でも、労使協定で定める範囲を超えて時間外労働をさせた場合は「労働基準法32条違反」となります。
今月、神奈川労働局により三菱電機が書類送検されたケースがその事例にあたり、36協定で定める上限を超えて社員に時間外労働をさせた疑いがあるという事でした。
● 就業規則等における定め ●
使用者は労働者に時間外・休日労働をさせるにあたり、36協定の締結に加えて就業規則等に、時間外労働命令に従うことについて契約上の義務を定めておかなければなりません。
日立製作所武蔵工場事件の判例においては、
「36協定の締結・届出が行われ、就業規則に当該36協定の範囲内で一定の業務上の事由があれば、労働契約に定める労働時間を延長して労働者を労働させることができる旨を定めているときは、当該就業規則の規定が合理的なものである限り、それが具体的労働契約の内容となるから、当該就業規則の適用を受ける労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて労働義務を負う」とされています。
● 最後に ●
新聞やニュースでは毎日のように「長時間労働による労災認定」「違法残業による立件」について取り上げられています。
この機会に労務管理の課題・問題点や36協定の内容など一度見直されてみてはいかがでしょうか。
最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
気持ち新たに。
2017年1月11日 水曜日
皆様、新年あけましておめでとうございます。
ひかり社会保険労務士法人のブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
長らく更新が滞っていましたが、このブログを見た方のお役に立ちますよう、気持ちを新たに、さまざまな情報を発信していきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします。
さて、平成29年も労働を取り巻く法改正が盛り沢山ですが、今日はその中の1つをご案内させていただきます。
◆ 雇用保険法の適用拡大 ◆
平成29年1月1日より、65歳以上の労働者も条件を満たせば「高年齢被保険者」となることとなりました。
これまで被保険者じゃなかったのに被保険者になる・・・ということは、保険料の負担が増えてしまうの?と、心配される事業主と従業員の方もいらっしゃるかと思いますが、保険料の徴収は平成31年度まで免除されます。
注意しなければならないのは、雇入れのタイミングと年齢により、資格取得手続の有無や期限が異なることです。
まず、昨年末以前から雇用している被保険者は、65歳以上の方でも、新たな手続きは不要です。
ただし、昨年末までに雇入れた時点で65歳以上の方(=被保険者でなかった方)は、今回の改正で新たに被保険者となるので、手続きが必要です。
この手続きの期限が、平成29年3月31日とされています。
もちろん、今後65歳以上の従業員を雇入れる場合は、通常の資格取得と同様に、翌月10日までに手続きが必要となります。
この法改正により、65歳以上で離職した被保険者も高年齢求職者給付金の対象となります。
高年齢者を雇用している事業所は、年々増加傾向にあるといいます。
手続の漏れが無いよう、雇用状況を確認されてみてはいかがでしょうか。
雇用保険の適用拡大等について (厚生労働省HP)