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「産業医」に関わる法改正

2017年5月11日 木曜日

「産業医」は労働安全衛生法により常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任しなければならないとされており、事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導・助言を行う医師の事を言います。

 

この春、その産業医に関わる法改正が行われますので、今回はその内容についてご紹介したいと思います。

 

まず平成2941日施行の法改正では、産業医を選任する際の要件が新たに定められ、

下記の点に当てはまる方をその事業場の産業医に選任することはできなくなりました。

 

 

1. 事業場が法人の場合、当該法人の代表者

 

2. 事業場が法人でない場合、その事業を営む個人

 

3. 事業場においてその事業の実施を統括管理する者

 

つまり、その事業場の代表者や個人事業主である医師を、当該事業場の産業医に選任することはできないという事です。

 

 

 

続いて、平成2961日施行予定の改正では、下記3点の改正が行われる予定です。

 

1.産業医の定期巡視の頻度の見直し

改正前:少なくとも毎月1回は作業場等の巡視を行う

改正後:事業場から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供する場合であって、事業者

    の同意がある場合には、巡視の頻度を少なくとも二月に1回とする事が可能

    ※所定の情報とは以下の2つです

     ① 衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果

     ② ①に掲げるものの他、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に

       提供することとしたもの

 

 

2.健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならない

 

 

3.長時間労働者に関する情報の産業医への提供

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、時間外労働(※)が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならない。

(※休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間)

 

 

 

 

今回の改正は、過労死やメンタルヘルス等に対する防止策の重要性が増す中で、産業医の役割や位置づけを見直す意味合いがあると言えます。

 

産業医を選任しなければならない規模の事業所様は、この機会に法改正(予定)の内容についてご確認いただき、対象ではない事業所様も労働者の健康管理等について改めて整理されてみてはいかがでしょうか。