住民税の特別徴収
2017年5月26日 金曜日
こんにちは。
最近さわやかな天気が続いていますね。
当法人のすぐ近くには京都御所があり、この季節は昼休みにベンチで休んでいるサラリーマンを見かけることもあります。
さて6月より、住民税の新年度の徴収が始まります。
給与から住民税を控除し、事業主が従業員に代わって納付する制度を「特別徴収」といい、
個人が納付するのを「普通徴収」といいます。
平成29年から、各市区町村が特別徴収の徹底をよびかけているのをご存知でしょうか。
普通徴収より確実に税収を上げ、滞納を防ぐため・・・とは思いますが、先日、少し驚かされたことがありました。
それはとある市区町村から、1月末に提出した給与支払報告書で「普通徴収」と指定した従業員について、事前の連絡なしに特別徴収に変更され、税額通知書が事業所に届いた というものです。
役所に問い合わせたところ「皆さまに特別徴収のご協力をお願いしております」と、にこやかな声で返答が。
なぜ普通徴収を希望するのか?という問い合わせの電話は何件かあります。
でも、まさかここまで強硬策を取られるとは・・・と正直驚きました。
もちろん、税金はちゃんと納めなくてはなりませんし、毎月の給料から控除できれば納め忘れが無いという点では、特別徴収を徹底する方針は分かります。
ただ、色々な従業員が存在するのも事実です。
給与が毎月支給されない
支給されても、額が少なく控除できない
他の給与から控除されている
退職したため控除できない
このような場合は、特別徴収が出来ないため普通徴収となります。
役所には、もう少し配慮ある対応をしてほしかったなと思いました。
特別徴収は今後も強化され、京都市は平成30年度には原則、すべての事業者を「特別徴収義務者」に指定するそうです。つまり、今回のようなことが来年は京都市でも起こりうるのですね。
特別徴収の税額通知書が届いているのに、面倒だからと納付せずに放置してしまうと、地方税法による罰則(10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金)を受けることになります。
従業員が10人未満の事業所は、申請し承認を受ければ、納付の特例といって、納付回数を年2回に減らすこともできますので、該当する事業所は検討されてみてはいかがでしょうか。
※所得税の納付特例とは納付期日が違いますので、ご注意ください。
義務化2年目のストレスチェック
2017年5月19日 金曜日
ゴールデンウィークが明けて早くも2週間が経とうとしていますね。
連休の影響で5月は稼働日が少なく、忙しい思いをされている方も多いのではないでしょうか。
5月といえば話題に上るのが、2つ前の記事でも触れておりました五月病。
五月病に限らず、メンタルヘルスの不調は様々な要因で誰にでも起こり得ます。
仕事内容に関することや成績、人間関係等々、職場でのストレス要因は色々と考えられます。
日々高いストレスにさらされ続けていれば、いつしか不安から鬱になり、休職や退職に至るケースもあるかもしれません。
そうしたメンタルヘルス不調によるリスクを未然に防ぐための施策として、平成27年12月より労働者が常時50人以上いる事業所でのストレスチェックが義務化されました。
毎年1回、すべての労働者※に対してこの検査を実施し、実施状況は労働基準監督署に所定の様式で報告しなければなりません。
(※ただし、契約期間が1年未満の労働者や労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外)
ストレスチェックを行わなかった場合の罰則規定はありませんが、この報告を行わなかったり虚偽の報告をした場合には、50万円以下の罰金に処せらることがあります。
50人未満の事業所については今のところ努力義務となっていますが、実施して以下の要件を満たせば費用の助成を受けることができます。
① 労働保険の適用事業所であること。
② 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること。
③ ストレスチェックの実施者が決まっていること。
④ 事業者が産業医資格を持った医師と契約し、ストレスチェックに係る産業医活動の全部または一部を行わせること。
⑤ ストレスチェックの実施及び面接指導を行うものは、自社の使用者、労働者以外の者であること。
助成される費用については以下の通りです。
① ストレスチェックの実施・・・1従業員につき500円
② ストレスチェックに係る産業医活動・・・1事業場あたり産業医1回の活動につき21,500円(上限3回)
※500円と21,500円はそれぞれの上限額。(実費額が下回る場合は実費額が支給されます。)
なお、昨年とは助成金について以下の点が変更されています。
①小規模事業場登録届出が無くなりました。
②実施対象期間が1年度単位となりました。
③申請期間が4月15日から翌年度6月30日までとなりました。
④助成金の対象となる産業医活動が
・ ストレスチェック実施後に面接指導を実施すること
・ 面接指導の結果について、事業主に意見陳述をすること
の2点のみとなりました。
事前に申請が必要だった小規模事業場登録届が無くなり申請期間が延びるなど、
昨年に比べて若干緩和された内容となっているかと思います。
義務化一年目となった昨年は、従業員にとってはストレスチェックは義務ではないため受検拒否をするなど、実施したものの受検率が低くなるケースもあったようです。
また、受検して「高ストレス者」と判定された労働者に対する医師の面接指導を労働者の申し出により実施することが義務付けられていますが、実際に面接指導を申し出る労働者が少ないなど、結果を対策につなげていくという点でも課題を残しました。
ストレスチェックはそれ自体が目的ではなく、労働者がメンタルヘルス不調になることを防止し、また不調にならないための職場環境づくりに役立てていくための制度です。
義務となっている事業所様はもちろんですが、50人未満の事業所様も助成金など利用し、制度を活用されてみてはいかがでしょうか。
●厚生労働省のこちらのページもご参考になさって下さい。↓
ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等
●助成金に関してはこちら。↓
「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引(平成29年度)
「産業医」に関わる法改正
2017年5月11日 木曜日
「産業医」は労働安全衛生法により常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任しなければならないとされており、事業場において労働者の健康管理等について専門的な立場から指導・助言を行う医師の事を言います。
この春、その産業医に関わる法改正が行われますので、今回はその内容についてご紹介したいと思います。
まず平成29年4月1日施行の法改正では、産業医を選任する際の要件が新たに定められ、
下記の点に当てはまる方をその事業場の産業医に選任することはできなくなりました。
1. 事業場が法人の場合、当該法人の代表者
2. 事業場が法人でない場合、その事業を営む個人
3. 事業場においてその事業の実施を統括管理する者
つまり、その事業場の代表者や個人事業主である医師を、当該事業場の産業医に選任することはできないという事です。
続いて、平成29年6月1日施行予定の改正では、下記3点の改正が行われる予定です。
1.産業医の定期巡視の頻度の見直し
改正前:少なくとも毎月1回は作業場等の巡視を行う
改正後:事業場から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供する場合であって、事業者
の同意がある場合には、巡視の頻度を少なくとも二月に1回とする事が可能
※所定の情報とは以下の2つです
① 衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果
② ①に掲げるものの他、衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に
提供することとしたもの
2.健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供
事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならない
3.長時間労働者に関する情報の産業医への提供
事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、時間外労働(※)が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならない。
(※休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間)
今回の改正は、過労死やメンタルヘルス等に対する防止策の重要性が増す中で、産業医の役割や位置づけを見直す意味合いがあると言えます。
産業医を選任しなければならない規模の事業所様は、この機会に法改正(予定)の内容についてご確認いただき、対象ではない事業所様も労働者の健康管理等について改めて整理されてみてはいかがでしょうか。